先月四国に行ってきました。視察を兼ねた旅行です。
大分佐賀関から航路で。
愛媛佐多岬に到着後そのまま高知へ直行。
この日の目的の高知市内のある小さな喫茶店へ行くとまさかの店休...
しかしせっかく来た高知、気を取り直して高知と言えばの鰹のタタキを食しに近くの
市場へ。
市場内での食事は初めてでした。
安くて新鮮で沢山の食材、活気がありちょっと猥雑な雰囲気に気持ちも活気づきます。
藁火で焼いた鰹の塩タタキ、鯨の竜田揚げ、ウツボの唐揚げ、あおさ海苔の天ぷら...
賑やかな雰囲気の中で楽しく美味しく、完食。
満腹になりちょっとお茶でもと目についた懐かしい雰囲気のする喫茶店に寄りました。
店の前には看板猫とおぼしき二匹が繋がれ道行く人々から声をかけられたりなでられたりしていました。
繋がれても気にする事なく、寄ってくる人々にも媚びずでも嫌がらず自由きままに過ごしている二匹を見ているとこういう猫たちが育っている街の雰囲気っていいなぁと思えてきました。
店内はうっとりするくらいの昭和の雰囲気でした。
吟味された調度品や内装を大切に使い続けて来たであろう空間は消費や効率主体の今においては新鮮で他には変えがたい存在に思えました。
何より若い世代と年配の世代が同じ空間でそれぞれの時間を自由にすごしている雰囲気がとても心地良かったです。
そこに集う人々がみな平等な空間。これからsinlaの目指す方向性を見た気がしました。
高知市内を散策して今夜の宿泊地に戻ろうと前述の喫茶店の前を通るとシャッターが半分空いて中からオーナーが出てくる所と鉢合わせ!
思わず声を掛けると店内に招き入れてくださいました。
実は前日に問い合わせの電話をしていたのですがオーナーから何分にも高齢の為に急に店を休む事もあると言われていたのでした。
そのオーナーが私達が宮崎から訪れるのに店を休む事を気にかけてくださって仮に会う事が出来た時にとなんとお店の人気メニューの手描きのレシピを用意してくださっていたのです!
そしてそして店の看板メニューのあんぱん(後述)の自家製粒あんをお土産に下さったのでした。
オーナーは穏やかで暖かい雰囲気の素敵な方でした。
偶然とは思えない出会いでオーナーの人柄と暖かいお気持ちに触れ、感激のなか高知を後にしました。
宿泊は道後温泉。
翌朝がんばって早起きをして一番風呂へ入る為に道後温泉本館へ向かいました。
歴史ある建物が現役温泉場として活躍しているのはとても魅力的です。
しかし老朽化の為に2年後に大規模な改修工事が行われるとのことで現状の姿のままでの改修か大幅に近代的な建物への改修かのアンケートを温泉内で求められました。
勿論、現状のままでの改修が望ましいと答えたのですが温泉スタッフの年配の女性の「私達もこのままの姿を残したいと願っています」の言葉が印象的でした。
湯上がり後の三階の休憩場ではお茶と茶菓子が出されました。
普通の煎茶ですが茶釜で湧かしたお湯で入れられ朱塗りの茶台で呈されました。
その後二階の大広間を通り過ぎようとするとスタッフの女性から「今この広間に誰もいなくてこんな機会は滅多にないから写真でも撮っていかれたらどうですか」と声を掛けられ存分に写真を撮らせて頂きました。
さりげなく心のこもったもてなしに気持ちが和みます。
道後温泉を堪能したあとはもう一つの目的地、砥部町へ。
砥部焼を見に行く為です。
白地に藍の模様が特徴的な砥部焼ですがよく目にする唐草模様や縞模様以外にも若い作家による新しい図案や色合いもあり現在進行形の伝統に感じました。
砥部焼の厚手のつくりは柔らかさと普段使いの安心感があり、またシンプルな藍の染め付けは用途が広そうです。自分用に小振りの角皿と小鉢を購入。
家に戻って早速高知の喫茶店でいただいた粒あんでそのお店の看板メニュー「あんぱん」を真似てつくって砥部焼の皿に載せてみました。
「あんぱん」はお店のものには到底及ばないと思いますが今回の旅行の思い出を反芻しながら美味しく頂きました。
今回の旅行、四国は初めての訪問でした。
行ってみてとても印象的だったのは、どの場所でも変わらない出会った人達の親しみのある応対でした。
観光地やお店の人のみならずタクシー運転手、陶芸作家や駐車場のおじさん、温泉場で居合わせた地元のおばちゃんにいたるまでだれもが知人に接するような暖かい応対でした。
たまたまそういう人達に当たったのかもしれませんがこれが「お接待」の精神なのかなぁと考えたときにしみじみと暖かい気持ちになりました。
見知らぬ者でも自然に受け入れる風土はとても素敵なことだと思います。
まずは自分に関係のない人でも自然に笑顔を向けれることから始めてみようと思いました。
いつかお遍路にも行きたいな。